13月32日と25時の昼夜
 蓋を開けて、恐る恐る中を覗き込んだが、真っ暗で何も見えなかった。叩いても揺すっても、何の反応もない。

 そこでアクは躊躇いもなく、壺の中に腕を入れた。

 ところが、中には何も入っておらず、鬼の形相でタルを睨んだ。


「大蛇なんて入ってないじゃないか! 嘘つきめ!」



 * * * * *



 次の日、アクが帰宅しなかったのを心配して、チャリがタルの家を訪ねてきた。


「昨日、ここにアクが来たと思うのですが」

「ええ、来ましたよ」

「彼はどこに?」

「大蛇を探す旅に出ると言って、去って行かれましたが」

「なるほど、あのアクが大蛇探しに夢中になるなんて。タルさんの大蛇は、さぞ立派なのでしょうな。私にも一つ、見せてはくれませんか」

「ええ、どうぞ」


 タルは壺を差し出した。チャリも昨日アクがしたように壺の中を覗き、次に手を入れ、残念そうにタルを見た。


「何も入ってないではありませんか」
< 16 / 20 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop