13月32日と25時の昼夜
 もう一つの世界での暮らしを楽しんでいたはずなのに、突然気を失って、気付いたら空の穴から落ちていた、というわけ。

 どういうことか、もう一つの世界でのことは、あまり覚えていない。『前世の記憶』みたいなものだからかも。



 ──さて。

 頭の良い君ならもう気付いただろうね。
 “他の人とは違う”のは僕だけじゃないってことに。

 君だって“他の人とは違う”んだよ。

 「どこが違うの?」って顔をしているね。

 大丈夫、すぐに分かるよ。空を見上げてごらん。
 君にも見えるはずだ。毎朝、僕が落ちてくる白い穴が何なのか。


 ──そう。太陽だ。

 仕事や勉強や恋やケンカなんかをして疲れたり、傷ついたりすると、ベッドに入ってもう一つの世界へと飛ぶ。

 これを普通は“夢”って呼ぶんだろうね。

 そこでだいたいの時間を過ごすと朝がきて目が覚める。
 すると体が軽くなっていて、気持ちも落ち着いている。
 それが生まれ変わった証拠。

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