君だけのもの。



つないだ手。
あったかい温もり。


斜め上にある顔。



こんな何でもないことが
幸せだった。


生きてるって実感できた。





「夜の海っつーのも
案外いいな」



「お化けでるかもよ〜?」



「やめろよっ!
トイレいけなくなんだろ」



あまりにも見た目に
似合わない言葉を発するから
笑ってしまった。





「…さみい」


そういって寄り添って来るしゅん。


「実はお化け話で
怖くなったんでしょ〜?!

かーわいーっ(笑)」



「は?!ちげーし!」



「だって…」



喋れなくなった。




なぜならしゅんの唇が
私の口を塞いでいたから。




「黙れよ」



そういいつつ顔が真っ赤な
しゅんをとても愛おしく思った。



とても、


幸せな時間だった。






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