その透き通る手で
ベッドに寝転んで、本のページをめくる。
晴れた空、雨の空、星空。
茜色、濃紺色、ピンク色。
レンは、どの空が好きなんだろう?
やっぱり、今日着てたシャツみたいな、明るい空かな。
両開きのページに、いっぱいの青空。
そこに浮かぶ鮮明な弓形の、虹。
レンは、虹は好きかなあ?
……そういえば。
どうして自分のことを話そうとしなかったんだろう。
トクン。
まるで棘が刺さったような、鈍い痛み。
わたし、レンのこと、知りたかったのかな?
……そうだよね。わたし、ずっとレンのこと考えてる。
だって、あんなに気になる人、生まれて初めてだったんだもん。
「……また、会いたいな……」
ようやく、わたしは素直な気持ちを言葉にした。
それはわたしひとりしかいない部屋で、ただむなしく響くだけだったけど。
「会いたいなぁ……」
虹のページに突っ伏して、目を閉じた。
せめて夢の中だけでもレンに会いたかったから。