その透き通る手で

「よしよし、可哀想に。生まれて初めての恋わずらいに、苦しんでるのね?」


教室の机に突っ伏したわたしの頭を、眞井の細い指が撫でてくれる。



……あれから一週間。



早朝、定時、遅刻ギリギリ。


放課後も一番乗りで帰ったり、図書室が閉まるまで粘ってみたり、色々とわたしなりに頑張ったけど。


「レンは一体どこにいるのかしらね? ひどいなぁ、清の心をがっちり掴んで消えちゃうんだから」

「……楽しんでない? 眞井」

「全然」


うらめしげに見上げると、眞井はにっこりしてみせた。
トゲトゲしたわたしの心をふわっと包むみたいに。


「今日はあたし、六川先生にお休みもらったの。だから放課後、一緒に探してあげる」

「ホントに? 熱があっても、図書委員の仕事を休まなかった眞井が……?」

「友達のピンチだもん。協力するよ!」

「あ、ありがとう!」


やっぱり持つべきものは友達だよ!
眞井、大好きだー!

< 16 / 76 >

この作品をシェア

pagetop