その透き通る手で
「……ありがと、眞井」

「いえいえ。
清には幸せな恋をして欲しいからねっ」


照れ隠しするみたいに、もうひと叫び。
『出て来ーい、レーン!』
だって。



でも、少しだけ気になったんだ。



――清には幸せな恋をして欲しいからね



それって、自分はまるで出来ないんだって言ってるような気がして。


わたしはジュースをあおる眞井の横顔をこっそりと見つめる。



ねえ。眞井?

ずっと聞けなかったことがあるんだよ?


それはツマラナイ噂話。


わたしも初めて聞いたときは、まさかーって思って笑った。

眞井も、『ないない!』と言って笑ってた。




――司書教諭の六川直樹と、
眞井白雪が付き合ってる――




あまりに現実離れした噂は、すぐになくなった。

結局六川先生を好きな女子が騒いだだけで、
先生たちはそんなの見向きもしなかったんだ。


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