その透き通る手で

一週間、ずっと聞きたくて聞きたくて仕方なかった声。


ぱっと振り返ると、あれだけ必死で探してたレンが、当たり前みたいにそこにいる。


「レンっ!」

「こんばんは、清。また会えたな」


『また会えたな』、だって!

会えたーってことは、ちょっとは喜んでくれてるってことだよね?


「なに、にやにやして。そんなに俺に会いたかった?」

「わ、自意識過剰ー。違うよー」


素直にうんって言えなくて、つい憎まれ口を叩いちゃうんだ。
……かわいくないな、わたし。



でも、そんなかわいくない子に、レンはとびきりの笑顔をくれたんだ。



「俺は清に会いたかったけど?」




ああ、今が、夕焼け空でよかった。

絶対、顔真っ赤だもん。今のわたし。




なんでこう、嬉しくなるようなことをサラッと言っちゃうの? なんだかずるい。

ずるいよ、レンってば。


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