その透き通る手で
「で、清はこんなところで何してるんだ? 青春ごっこ?」
「なにそれ! ごっこ?」
「昔のドラマでよくあるじゃん。夕暮れ時に、太陽に向かって叫ぶとかってやつ」
それ、眞井だ!
さっきのは、すごいハマりすぎのシチュエーションだったんだね。
「あ、それ、友達がやってたよー」
「まじ? 熱いねー。で、その友達は?」
「電話中だよ。……あ、そうだ。レン、なんであの時急にどっか行っちゃったの?」
もう一度会えたら、絶対聞こうって思ってたことのひとつ。
思ったより自然に聞けたことに満足しながら、わたしはレンの顔を見つめて答えを待った。
「んー、まあ、俺にも色々事情ってものがあってだな」
「なにそれ、答えになってないよ! その事情が知りたいのにー」
「言えない事情もあるの。でも、今日は急に消えたりしないから、それで勘弁してよ。な?」
「う、うんっ」
なんて現金なんだろう、わたし。
こんなにあっさり許しちゃうなんて、変だね。
でも、勘弁してーって言った時のレンの顔ってば、ものすごく可愛かったんだもん。
ドキドキっていうか、すっごいキュンってなった。