その透き通る手で


自分の気持ち、確かめなきゃいけなかったんだ。



「うーん……まだわかんない」

「清は鈍感だなぁ。自分の気持ち、もっとちゃんとわかってあげないと。
じゃないと誰にも伝わらないよ?」


そう言って、眞井はなんだか大人びた笑い方をするんだ。


ドラマの中で、女優さんが辛い恋をした女の人を演じる時と、同じ顔。



でも勇気がないわたしは、また言葉を飲み込んでしまう。

『なにがあったの?』って、聞ければいいのにね。



「で、今度は何の話したの? ちゃんと色々と聞いたんでしょうね~」


さっきとは打って変わってにんまりと笑う眞井に、わたしは仕入れたばかりの情報を
指折り数えた。

「あ、うん。
レンは23歳で、お父さんは有名な人で、大学卒業してからは日本中を放浪してる画家さんなんだって」

「…………は?」


その時の眞井がした『何ソレ』って顔は、あまりにも普段の彼女からかけ離れてて。

わたしは思わず大笑いしちゃったんだ。


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