その透き通る手で
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電柱の影。
昼間はなんてことないのに、どうして夜はこんなに怖くて仕方ないんだろう。
最近家の近所でよくない事件が起こってるって聞いたから、怖さに拍車がかかる。
送るって言って聞かなかった眞井に別れを告げて、残りわずかの家路を急ぐ。
「女の子が一人歩きしていい時間と明るさじゃないぞー」
歌みたいに聞こえるレンの声。
遅れて曲がり角からひょっこりレンが現われた。街灯に照らされて、ニッと笑った顔が明るく浮き上がった。
「レンってば、ホント神出鬼没だよねー」
「ん? あー、こればっかりは俺にはどうにも」
「なにそれ」
会えた。嬉しい。すごくうれしい!
にやける頬を隠したいのに、全然うまくいかない。