その透き通る手で

「清。家、近く?」

「うん。ここをまっすぐいったとこ」

「にしても、こんな遅くまで何してたんだ? 居残り?」

「違うよ! 図書室でお手伝いしてたの。返却分がたくさんで困っちゃった」

「なんか、本に埋もれてる姿、想像できる」


 レンにくすくす、って感じで笑われた。
 今のはいい風に解釈できないよね。どう考えても。


「やっぱりレンは意地悪だ……」

「ん? そっか? まあ、清がからかって面白いタイプっていうのは間違いない」

「……意地悪」


 もう一度、恨みがましく呟いたら、今度は声を上げて笑った。

気持ちよく笑うレンの横顔をちょっと下から見上げている。この時間が続けばいいのにって思った。

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