その透き通る手で
「清は高校生? 何年?」

「高校2年。レンは?」

「俺は……まあ、あれだよ」

「どれだよ!」


言葉をにごすレンに、思わずツッコミを入れてしまう。だって、誤魔化し方があまりにもロコツすぎるから。


「あはは、俺のことはいーの。それより、清のこともっと聞かせてよ」

「ええー……?」

「清のことが知りたいんだ。駄目?」


そう言われて、悪い気はしない。

可愛かったり、カッコよかったり、くるくると表情を変えるレン。

そんな素敵な男の子だったから、なおさらだった。


「でも、聞かせてって言われても……」

「なんでもいいよ。たとえば今、清が受け損なってる一時間目の科目は?」

「……いじわるだね、レンって」


あはは、とレンは声を上げて笑う。
くしゃっとなった顔がまた可愛くて、わたしはそんないじわるも許してしまうんだ。


「ごめんごめん。じゃあ、清はなにか部活には入ってるか?」

「ううん、帰宅部。たまに図書委員の友達を手伝ったりしてる」

「本は好き?」

「それなり、かな。文より、空とかの写真集を見てるほうが楽しいよ」

「空、好きなんだ?
――俺も好き」


嬉しそうに目を細めるレン。



うわっ。

きたよ。



本当に、レンは心臓に悪い。
レンの一挙一動で、ドクンだとかバクンだとか、すごい音を立てて跳ねるんだから。
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