その透き通る手で
「レンが? なんで?」
「たちの悪い男につきまとわれてるんじゃないかーって勘ぐったんじゃない?」
「レンは悪い男じゃないよー。それに、もしそうだとしても、どうして長谷君が勘ぐるの?」
いつもの気配りかな? でも、プライベートなことまで手出ししたりするような人じゃないんだけどな。
わたしが首をかしげていると、眞井はなんだかとっても嬉しそうに含み笑いしてる。
「多分、ね。自信はないけど。……ふっふっふ、委員長め、じきに痛い目に遭わせてやるっ」
うーん、眞井はとっても楽しそうだけど、これって止めるべきなのかな?
止めるのは簡単。声をひそめて、『六川先生に告げ口するよ』って言ってあげればいいだけ。
そしたら眞井は、まるで借りてきた猫みたいに大人しくなるんだから。