その透き通る手で
気が気じゃなくレンを急き立てるのに、当人はいたって呑気なもの。
人の気も知らないで、と恩着せがましくも思いながら、わたしは無理やり引っ張っていこうとレンの腕に手を伸ばした。
いつかのスカイブルーのシャツ。
あの時は、こうして触れる日が来るなんて思ってなかった、遠い空みたいな存在。
でもそんな夢みたいな展開なのに、ちっともときめかない。それもこれも、レンが学校なんかに現われるからだよ。
本当に、神出鬼没にも程がある。
伸ばした手はすかっ、と手が宙をかいた。
レンが咄嗟にわたしの手をよけたんだ。