その透き通る手で

「ちょっと、遊んでる場合じゃないんだって! 本当にまずいんだから――」

「清、聞いて」


 わたしの言葉をさえぎるレン。その声には感情がなくて、冷たくさえ聞こえた。

 まっすぐに見つめてくるレンの目が、身動きさえ許してはくれない。


「話さなくちゃいけないことがある。……でも、どう伝えたらいいかわからないし、第一俺にも実感がないくらいだ。だから、信じてもらえないかもしれない。清は、俺のことを嫌いになるかもしれない」

「そんな……」

「何も聞かずに帰る? それなら俺は、二度と清の前に姿を現さないよ。でも、聞くなら」

「……聞く」


 自分の声だと思えないくらい、乾いてかすれた響き。レンの真剣さや緊張が伝播して、わたしの身体はひどくこわばってる。

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