その透き通る手で
「うわっ」


び、ビックリしたー!
心臓に追い討ちをかけるように、携帯が着信を振動で告げる。


ディスプレイには、友達の眞井(まい)の名前。
とっさにレンに断って、わたしは受話ボタンを押した。


『もしもし、清? 連絡もなしにどうしたの?』

「あー、ごめん。眞井。寝坊した」

『もう一時間目終わったよ? 10時前登校って、一体どれだけ寝過ごしたの?』

「え、ウソ、もうそんな時間!?」


携帯を耳から離すと、9時51分を差していた。
気付いたら、レンと会ってもう15分近く話し込んでいたんだ。
待っている感覚さえ、忘れてしまうほど。


「今からダッシュで行く! 二時間目には間に合うようにするからっ」

『急いで転ばないようにね? じゃあ、またあとで』


電話の向こうでクスッと笑う声がする。
多分、寝坊のことも電話の前から見抜かれてたんだろうなぁ……


いっつも眞井には、行動読まれきってるから。わたし。


パタンと携帯を閉じて、レンを振り返った。


「ごめんね、話の途中で。さっき言ってた友達が電話で――」
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