その透き通る手で

 最初の台詞に、戸惑った。
 レンを嫌いになる真実が、どんなものかって怖くなった。

 でも、レンに会えなくなることを天秤にかけたら、そんな怖さちっぽけなものだと思えたんだ。


 うなづいたわたしに、レンは軽く溜め息一つ。


「わかった。じゃあ、少しじっとしてて」


 言うなりレンは、わたしに向かって手を伸ばしてきた。

 細くて、でも筋張って整ったレンの指が、西日に照らされて透き通って見えた。それは錯覚だったけど。


 目だけで追うレンの手は、わたしの頬に近づいてくる。一瞬、ためらうように指先が震えたのもわかるくらい、近く。

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