その透き通る手で

「じゃあ、なんでわたしには見えるの! レンはここにいるじゃない! なのに、幽霊だなんて、そんなのおかしいよ!」


 わたしはわめいた。自分で何を言ってるのかわからない。

 ――認めたくなかった。レンが幽霊だってこと。


「それは俺にも、よくわからないんだ。清は俺を見て笑うから。俺の言葉で怒ったりすねたりするから。だからちょっとずつ違和感を覚えても、気付かないふりをしてきた。
――でも、それも限界だったんだよ」


 そこまで言い終えてから、レンはすごく遠い目をした。わたしには見えない、別の場所を見るみたいに。


 ……いやだ。この先を聞きたくない。

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