その透き通る手で
「わかったわかった! とりあえず場所を変えて、落ち着いて話をしよう。いつまでもここにいたら、人に見とがめられると困るし」
確かに、ひとりで会話したり怒ったりしている姿は見ていて変だし、最悪カワイソウな人だと思われる。
もし仮にレンが、誰の目にも映る特別な幽霊なんだとしても、校内で部外者がいたら色々とまずい。
わたしは渋々怒りを引っ込めて、じっとりとレンを睨み上げる。
「……もう、最後とか言わない?」
「うん、言わない。清に卑怯者って言われるの、結構キツイしな」
屈託なく笑うレンは人間くさくて、幽霊だなんてなんだか悪い夢みたいに思えてくる。
目の前にいるこの人には触れられないのだと、つい今し方、深く思い知らされたばかりだったけど。
「ちゃんと話すよ。俺にわかることなら全部。……気まぐれで会いたいって思ってたわけじゃない、気まぐれに清の心が欲しかったわけじゃないって、ちゃんとわかってもらいたいから」