その透き通る手で
「――で、どうしたんです? そんなに困った顔をして」
向かいに六川先生、隣に眞井が座ってテーブルを囲み、お悩み相談室の開催。
それは二、三度経験したことのある構図。
だけど、今回ばかりはケロッと打ち明けてしまえるような簡単な問題じゃなくて。
一応、念押ししてみる。
「あの、六川先生」
「なんですか?」
うわあ。
眞井じゃないけど、その甘い微笑みと声にうっかりとろけてしまいそう。
おっと、駄目だ駄目だ。気をしっかり持たないとね。
眼鏡の奥、色素の薄い瞳をまっすぐ見返して、わたしは拳をぎゅっと握る。
「わたしがこれから、おかしなことを言うと思いますけど……変な子だって、思ってくれていいです。でも、お願いですから信じてください」
先生はわたしをじっと見すえて、少しのためらいも迷いもなくうなづいてくれた。