その透き通る手で

「仲江さん、貴女がそんな冗談を言う人じゃないことはよく知っています。
だからそれは真実なのでしょうが……一体どういうことなのか、詳しく説明してくれますか?」


 眼鏡のフレームを押し上げながら、先生。
 でも、詳しくって言われても、わたしだって事態はちんぷんかんぷんなんだけどなあ。

 ――あ、そうだ。


「ねえ眞井。眞井には話したでしょ? レンのこと。23歳の絵描きさんの話」

「聞いたけど……って、ちょっとまさか! まさかあのレンが幽霊だったっていうの!?」


 わたしがこっくりとうなづくと、やや青ざめていた眞井の顔が一瞬にして赤くなった。


「なにそれ、許せない! 清のことさんざん振り回しておいて、幽霊でしたーって何オチ!? 馬鹿にしてるわよそれって!」


 まるで自分のことのように怒ってくれる眞井。
 その気持ちは本当にありがたいんだけど……ここにはその当人がいるんだよ……

 ほら、レンったらちょっぴり凹んじゃってる。

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