その透き通る手で
「それより眞井さん、そのレンって人はどういう……」
「あ、すみません六川先生。
実は――」
眞井からの説明と、さっきわたしがレンに教えられた話とを聞き終えた六川先生は、やっぱり困り顔でこう言った。
「困りましたね……」
だよね。
だって、わたしにしか見えない【レン】の存在を、そう簡単に信じろって方が無理。
六川先生にレンのことを話してくれた眞井だって、半信半疑な顔してる。
わたしのことを信じてくれるのと、科学で証明の出来ない現象を信じるっていうのは、全然別問題だし。
「ねえ、本当にレンがそこにいるの? わたし、まだ信じられないんだけど」
「いるよ。――ね、レン」
眞井が凝視する、普通の人には何もないはずの空間。
わたしはそこに所在なく立っているレンを見上げる。