その透き通る手で
テレビによく出てる、霊媒師の人とか。
でも六川先生は首を横に振る。
「僕は、あまりそういう人を信じてはいないんです。
それに、言ったでしょう? 僕は貴女を信じますと。証明なんてしなくても、ここに彼がいるのだと信じてますよ」
「あ……ありがとうございます。六川先生」
見れば、レンも深々と頭を下げている。
やっぱり会ったばかりの人でも、六川先生のすごさって伝わるんだなあって実感した。
「では、いくつかレンさんに聞きたいことが――
あ、少し待ってくださいね。誰か来たみたいです」
会議使用中の看板をかけてあったのを見た、律儀な誰かのノックが響く。
こう言うと誤解を受けそうだけど、六川先生の温和な人柄もあってか、この部屋を訪れる人に遠慮や気遣いがあることの方が少ないと思う。
現に、会議中の看板だって、しょっちゅう無視されるんだって眞井がよくぼやいてたから。