その透き通る手で

 いつもの人懐こい色は失せ、敵意をあらわに今にも殴りかかりそうなレン。
 レンが長谷君に触れられるのかもわからないし、そうだとしてもわたしには何もできないけど、それでも押しとどめるようにレンの前に手をかざした。


「レン、大丈夫? 痛かったよね?
でもちょっと落ち着いて、ね?」

『あ、ああ……悪い。年下相手にマジギレするとこだった。
サンキューな、清』


 わたしを見て、少しだけ表情がやわらいだみたい。いつもみたいな軽口が出てきて、安心する。
 長谷君は片眉を器用にはね上げたけど、特に何も言わなかった。


「ねえ清。今、委員長が、レンを殴った……の?」

「うん、しかもボディーに」

「……やることえげつないのよ、あいつ」


 うめくように眞井はつぶやいた。

 でもすごい。
 本物の霊感体質の人は、ちゃんと幽霊に触ったりできるんだ。
 ちょっと激しい証明の仕方だったけど、その事実には感動かも知れない。

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