その透き通る手で

「ま、それはともかく。このいけすかない奴のおかげで、レンがここにいるんだってことがはっきりわかったわ。
一応感謝してやらないでもないわよ委員長?」

「おまえに感謝されたって嬉しくないな」


 クールな顔して皮肉たっぷりに返す長谷君。
 でも、普通なら食ってかかりそうな場面で、眞井はニコニコと笑ったまま。

 笑ったまま振りかぶった平手が、爽快な音を立てて長谷君の頬を打った。
 乾いた、とてもとても痛そうな音がする。


「じゃ、これはレンのボディーブロー代わりね。ありがたく受け取っておきなさい」


 これにはわたしもレンも目を丸くして、眞井の実に男らしい背中を見つめた。

 でも長谷君は、今にもぷっくり腫れ上がりそうな頬を押させることもせず、自分の用は終わりとばかりにきびすを返す。


「それではお騒がせしました、司書教諭」


 涼しい顔で六川先生に会釈して、長谷君はスタスタと図書室を後にする。

 どこまでクールビューティーなんだろう。ある意味尊敬。

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