コスミックダスト-戦塵の宮殿
国王はとにかく「貧乏人」を嫌った。
低所得者が苦しむ法律を次々と制定し、従えない人間を躊躇なく排除した。

「排除って何やねんな? 強制収容所送りとか・・・まさか死刑ってことは、ないよな?」

「収容所へ収監される人も沢山いました。でも、ボクが1番ヒドいと思ったのは闘獅子です」

「何やソレ?」

「ライオンと人間を闘わせるゲームです。王子もご存知だと思いますけど」

「何や? ミドリも貧乏人の排除に手を貸していたのか?」

「いや、ちょっと待ってくれ。確かに闘獅子は知っている。見たこともある。だけどオレは、勇敢な男がライオンとの闘いを希望して、選ばれた人間が果敢にライオンに挑戦する勇気ある男のゲームだと思っていた。違うのか?」

「あんなものゲームじゃない! ただの人殺しです。ボクの村からも大勢の若者が軍に拉致されて闘獅子の犠牲になりました」

「拉致だと?」

「希望者なんかじゃない。無理やり連行されて行ったんです!」

「本当か、それは」
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