コスミックダスト-戦塵の宮殿
「ボクの従兄も闘獅子の犠牲になりました」

「確かに、最近は本人の意志で出場しているとは思っていなかった。だけどあの者たちは皆、重罪を犯した死刑囚だとオレは聞いていた」

「言い訳なんか聞きたくありません!」

「本当なんだ。まさか罪なき国民が犠牲になっていたなんて、今、初めて聞いた」

「王族なんて悪魔より酷い。軍人なんて殺戮愛好者です。従兄が連行されていくとき、伯父は必死で抗議しました。だけど軍の幹部に、だったら多額の税金を納められるのかと問われました。納められないのなら、国に貢献できる金がないのなら、とっとと死ねと面と向かって言われました。それを聞いて兄は、最終的にクーデターを決意したんだと思います」

「何ということだ・・・・・・」

ミドリは本当に知らなかったのだろう。
この国は国王と軍の幹部が狂っている。

「なぜ父上はオレに何も言ってくれなかったのだろう。いや、もしかしたら父上は何も知らないのかも知れない。軍が父上を騙しているのかも知れない」

「軍はそんな簡単に国王に背くのか?」

「だって・・・・あの父上がそんな・・・・・・」

「クーデターが起きてから今日まで2年もあったわけやんか。オマエは何をしていたんや?」

「クーデターが起き、母上が殺され、葬儀を終え、数日後にシェラ大佐から、ペイジャックが母上を殺して地球へ逃亡したと教えられた。そこでオマエの名を聞いた。だがオマエの居所がまったく分からなかった。地球と言っても広い」

「そやけどオマエはオレの前に現れた」

「捜索に2年もかかってしまった。俺はキルジャ人の中でも特に透視能力が優れている。オマエとペイジャックが一緒にいることはほぼ決まっていたし、だからオレは必死にペイジャックの居場所を透視した」
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