コスミックダスト-戦塵の宮殿
「なあサムト。メイドってさ。飯の支度をしたり、部屋の掃除をしたり。ほかに何があんねん?」

「軍の幹部にも専属のメイドが付きます。スケジュールの管理とか、会議の資料作りとか、そういうのもメイドの仕事だと思います」

「まるで秘書やな」

「だから女性の憧れなんです」

「ほかにさ・・・・・・王族や軍人の、夜の相手、ということは?」

「え?」

家柄が良くないとメイドにはなれないと言っていた。
リズミーのほかに数人の女を此処で見かけたが、どいつもこいつもとびきりの美人だった。
オレの脳裏に閃いたのは「大奥」という言葉だった。
いや、大奥とは意味が違う。遊郭といったほうが正しいかも知れない。

リズミーの暗さはまさに 「借金の形に連れて来られた女郎」 というイメージにピッタリだ。

「国王や王子や軍の幹部たちが、妻や恋人でもない女性を抱くんですか? 有り得ない」

「少なくともリズミーは、喜んで此処で働いているわけちゃうぞ。此処で働いていることが自慢にも誇りにもなってへん」

「平民にはそういう態度を取れ、と教育されているんじゃないんですか?」

「だとしたらアカデミー賞もんやで」

「何ですか、それ?」

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