大好きだから大嫌い
「ホントッ!?」



瞬く間にうちに隼人は元の笑顔に戻る。




なぜ、私が起きると言っただけでこんなに喜ぶ……?




尻尾をぶんぶん振り回す犬のごとく喜ぶ隼人




その変わり身の早さに私は一瞬呆然としたが、無事に床におろしてもらえたのでとりあえずなにも言わないでおいた。




「あんたさ、いい加減こういう心臓の悪い起こし方止めてくれる?」





幼馴染みという関係をこいつとはじめてからもう15年



いつも隼人は毎朝私を起こしに来てくれているが、その起こし方は年を追うごとにだんだんエスカレートしている



小学校に通い始めたころから始まったこの習慣は、今やちっちゃい子同士のかわいいモーニングコールという生易しいものではなくて、



それ相応に思春期を迎えた現在の私にとって隼人の行為は心身ともに過大なるストレスを与えるものでしかなかった






いくら私が低血圧だからってこんな一気に血圧上げるようなことしなくたっていいんじゃあ!!





そんな心の叫びとともに頭一個分も離れてしまった幼馴染みの顔を睨みながら見上げると





「だって~、こうでもしないと香奈起きてこないし……」




「だからって、もっとほかに起こし方があるだろッ!! てか、起きないってわかってんなら起こしにくんなッ!」




ゆっくり寝かせてくれ! 私の心臓のためにも!


< 4 / 6 >

この作品をシェア

pagetop