先生の教科書
玄関では、彼氏が一足先に精算機相手に支払いをしていた。
何とか間に合ったようだ。
『ギリセーフ〜☆』
ちょっと自慢げな表情で言ってみたら彼氏が振り返り、顔を近付けてきた。

キスされるのかと身構えたのに、彼氏は顔を近づけただけで、あたしの顔を嘗め回すかのようにまじまじ見つめ一言いった。

『スッピンぢゃん。てか、髪もボサボサだし。』

『…〜っ!!!仕方ないぢゃん!!!時間なかったし!!!車ん中で化粧するし、学校で髪巻くからほっといて!!!』

時間が無かったのを知っていながら意地悪を言う彼氏にキレたら、彼氏は嬉しそうに笑っていた。

『コイツ…ドS…』

口からポロリと出そうになったけど、この男は余計に喜びそうなんで飲み込んだ。
そんな他愛もない会話を交わしながら、あたし達は部屋を後にした。
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