笹ノ丘学園〜若者よ、恋をしろ〜
部屋に入ると、雪斗と紗佑がいて『綾ちゃーん!』なんて歓迎してくれた。
テーブルにおみやげのチョコと、スナック菓子を広げてく。きっとこん中で1番気の利く、紗佑がコップにジュースを注いでいった。
『うしっ、やるか!』
春樹の一言でそれは始まった。
それは、なんだかこの面子での恒例になってしまった、トランプの大富豪。
「綾乃のスッピン久々」
ジャンケンで勝った雪斗がトランプを出しながら言う。
「えー!ひなと遊ぶ日、絶対スッピンだよ〜?」
って雪斗の左隣が定位置になってる雛乃がトランプをだしながら言う。
「スッピンと化粧してる時の差、激しい女マジ無理〜」
って、すぐトランプをだす春樹。
「綾ちゃん、そんな変わんないよねー!」
あたしの顔をまじまじ見ながら言った紗佑。
「そんな見ないでよ!照れるってー!…でもねー、自慢じゃないけどたっくんに『スッピンのお前も好き』って言われたのー!!」
なんて、はしゃぐとみんなからの視線。
はい、この中であたしだけが彼氏持ちです♪ちなみに付き合ってもうすぐ2年ですっ。
「久しぶりに聞いたわ、たっくん。よく続くよな〜。」
「それみんなに言われる〜!!そんなあたしチャラいー?」聞くとみんながうなずく
「あ!でもあれだよね〜やっぱギャップがいいよね〜ぇ!」きっと雛乃なりのフォロー。
別に『チャラい』なんて言われても実際そうじゃないんだから言われても全く気にしない。
それから雛乃が思い出したように言った。
「だって、ほら!チャラいって言ったらやっぱ春じゃん?…そーそー!今日もねー、寝言で“あゆ”って言ったんだよー!」
その言葉を聞いてあせってる春樹は、あたしと目を合わせる。
きっとこれは『言 う な』のサイン。
あたしは『高いよ』って呟いてトランプを出した。
雛乃と紗佑が『なに?』って顔。
雪斗も多分気づいてて…言わないだけ。ホントいい人だよね雪斗。
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