笹ノ丘学園〜若者よ、恋をしろ〜








* 吉沢紗佑



『‥キスでもすれば思考回路ショートだろ。んじゃ、頼んだわ。さいなら〜。』

先生が意地悪で言ったなんてすぐ分かった。

少しテンパってるゆっきーと、まだ両手で口を抑えながらぴょんぴょん跳ねるひな。

なんでこの2人、付き合っちゃわないんだろう。不思議でしょうがないな。

ひなが自分のこと好きって、ゆっきーは知ってるのに。

よく分かんないな。そうゆうの。





ピロリロリーン‥ピロリロリーン‥ピロリロリーン‥―――――――
私のポケットから電話の着信音が聞こえてきた。

2人の注目が私に集まった。


携帯を開くと『神山春樹』の文字。



急いで電話をでた。

「もっ‥もしもし!」

『紗佑ー?俺〜、雪斗電話でないんだけどー。近くいる?』

「あっ‥うん、ちょっと待ってね…」

春樹。それだけ言ってゆっきーに携帯を渡した。




「はい、…え、なに?学校もう終わったよ。‥‥‥あぁーはいはい、分かったわ。


あ、ちょっと待って。」

そう言って、私たちに顔を向けて今日春樹ん家行く?って聞いてきた。

ひなが、うんって首を縦に振ってから私も行くって答えた。



「じゃあお前ん家行くわ。‥‥うん、了解〜またあとで。」

ゆっきーが電話を切ると、綾乃も来るって。そう言った。



山田綾乃ちゃん。L組で同じクラス、大人っぽくって、積極的で、美人な子。…すっごいギャルだけど。








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