腕挫十字固-うでひしぎじゅうじがため-
◆思ったよりも大変でした
 時弥(ときや)が捕まっていた倉庫が見渡せる位置で隠れていた杜斗(もりと)たちは、男の1人が倉庫の中に入っていくのを確認する。

 見ていると──男が慌てて出てきた。

「おい! 逃げたぞ!」

 声を張り上げて仲間を呼んでいる。

「ホントかっ!?」

 1人が駆け寄ってくる。髪を茶色に染めた青年だ。

「どこに逃げやがった……」

 最後の青年が確認のために倉庫に入って出てくる。

「まさか山を下りたんじゃ?」

「歩いてか? 町までかなりあるんだぞ」

「俺が確認してくる」

 1人がそう言って側にあった軽トラに乗り込んだ。
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