腕挫十字固-うでひしぎじゅうじがため-
 覗いた刹那──「がっ!?」

 後頭部に衝撃が走りアスファルトに倒れ込んだ。

「おいっ見られたぞ!?」

「とにかく縛り上げて積み込め」

「……っ」

 俺まだ何にも見てなかったんだけどな……と考えながら時弥は意識を遠ざけた。

 パーカーのフードを目深に被った男2人は周りをキョロキョロと窺いながら時弥の手足を縛り猿ぐつわをして彼の荷物を抱えてワゴンに詰め込んだ。

 そして1人は運転席に、もう1人は意識のない時弥を見張るために一緒に後ろに乗って車を走らせる。
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