腕挫十字固-うでひしぎじゅうじがため-
「ほら、敵をたたく時って夜間なんだよね。それって視界がハッキリしないからなんだけど……。ハッ!?」

 言いながら途中で気がつく。

 いま話してる事ってむしろ怖がらせることなのでは……

「……」

 ちらりと少女を見下ろすと案の定、先ほどよりも震えている。

「あちゃ。ごめんごめん」

 女の子っていうのはどうも扱いにくいな。と時弥は困りながら縛られている後ろ手を動かした。

 家族に姉がいるが彼の姉は少し変わっていた。

 時弥が自衛隊に入ったのも姉の影響だと言っていい。
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