腕挫十字固-うでひしぎじゅうじがため-
「……」

 理絵は言い出せずに苦笑いを返した。

「自衛隊にいるって、どれくらい?」

「まだ入ったばっかだよ。新人もいいトコ」

 肩をすくめる。

 少女はそれに残念そうな顔をした。

 期待はずれだと思っているのだろう。当り前と言えば当り前だが。

 脱ぐと凄いが今の見た目では強そうには見えない。

 少女の感情が見て取れて時弥は少しムッとしたが、強そうに見えて相手に警戒されても困ると思い今の見た目に感謝しておく事にした。

 言っておくが悪くない見た目である。

 単に「強そうには見えない」というだけだ。

「……」

 ていうか……時弥はふと考えた。

 杜斗はいつ行動に出るんだろうか? そこの処は打ち合わせしていない。

 捕まってる手前、俺からの行動は出来ないよね。じゃあ向こうの行動待ち?
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