腕挫十字固-うでひしぎじゅうじがため-
「どうしたの?」

 何か考え込んでいる時弥の顔をのぞき込む。

「! ああ、ごめん。なんでもない」

 心配させないようにニコリと笑う。

 その時、3人の青年が時弥たちに向かって歩いてきた。

「女、来い」
「え?」

 理絵はびくりと体を強ばらせた。「どうしてあたしだけ?」という顔をして近づいてくる男を見上げる。

「ちょ、ちょっと待って……どうして彼女を?」

「うるせぇ! おまえには関係ないんだよ」

 なんとか止めようとした時弥の肩を蹴る。
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