腕挫十字固-うでひしぎじゅうじがため-
 遠目で見ていた杜斗はぼそりと……

「あいつ。豹変するタイプなのか」

 少し感心するようにつぶやいた。

「! ……感心してもいられんな」

 杜斗の左の視界に入ったスーツの男は、すでに改造モデルガンを懐(ふところ)から抜いている。

「! いや……あれは本物だ」

 青年たちの持っているハンドガンとは違い、スーツの男が持っているのは本物らしかった。

「ご丁寧に消音器(サイレンサー)まで付けてやがる」

 助けに出るべきか? 杜斗は決めあぐねた。
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