腕挫十字固-うでひしぎじゅうじがため-
「バカ3人は数に入れなくてもいいかもしれん」

「! ああ……そうかも」

 いざ戦いになった時、あの3人の青年が機敏に動けるとは思えない。

「じゃあ、2人を倒すのが先決かな」

「今来たグレーと藍色もやるようだが、黒は問題外だろう」

「どうやって理絵ちゃんを助け出すかだね」

「とにかく、あそこのグレーをやるぞ」

 リムジンを守るように残ったグレーのスーツを着た男1人をあごで示す。

「じゃ、俺は前から」

 時弥は言って音を立てないようにゆっくり離れていった。

「!」

 その様子に杜斗は感心する。

「サバイバルゲームでもやってんのか?」

 ぼそりとつぶやいて時弥の背中を見送った。
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