腕挫十字固-うでひしぎじゅうじがため-

*ご対面

「!」

 時弥(ときや)はハッと気がついて体が動かない事に眉をひそめる。パイプイスに両手を後ろ手に縛られていた。

「おい、おまえ!」
「!」

 男の声に前を向く。

 そこにいたのは3人の男性。時弥と同じ20代前半だと見受けられる。

「こんな処に何しに来たんだよ」

「何しにって……ちょっとした旅行だよ」

「こんな田舎町にかよ」
「観光地は興味無いの」

 ヒトの趣味をとやかく言わないでくれるかな……と時弥は心の中でブー垂れた。

 そうして周りを見回す。

 どこかの倉庫跡のようで、時弥の両端に木製のパレットがうずたかく積まれていた。

 前に見えるのは入り口が開け放たれたコンクリートの地面。
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