腕挫十字固-うでひしぎじゅうじがため-
「ハッ!? もしかして……」
「ん?」

 何かに気づいた時弥は顔を青ざめた。

「あのおっさんに変なことさせるために理絵ちゃんを……!?」

「だから待てって!」

 家に向かって走ろうとした時弥の首根っこを掴む。

「お前の考えは短絡的すぎる!」
「だってぇ~……」

「とにかくだ。こいつをどっかに隠せ」

「了解」

 2人は肩と足をそれぞれ持ち上げて男を運んだ。

 とりあえず近くの倉庫の奥に押し込む。

 そして再び山の中に隠れて様子を窺った。

「! おいっ高瀬?」

 出てきた藍色スーツの男は仲間がいない事に気がついて呼びながら辺りを見回る。
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