腕挫十字固-うでひしぎじゅうじがため-

*ピンチかもしれません

「! 高瀬? 崎村? どこに行きやがった」

 えんじ色のスーツを着ている男はキョロキョロと辺りを見回した。

「!? なんだてめぇっ」
「あ、しまった」

 今度も跳び蹴りしようと駆け寄った時弥だったが、技をかける前に振り向かれてしまい立ち止まる。

「あのバカ」

 杜斗は頭を抱えた。

「どうした!?」

 えんじの声で他の男たちも建物から出てくる。

「あっおまえ」

 ピアスが時弥を指さした。

「やあ。お元気?」

 にっちもさっちもいかず時弥はニコリと笑う。

「なんだこいつは?」

 黒スーツの男は顔をしかめて時弥を見定めるように見つめた。
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