腕挫十字固-うでひしぎじゅうじがため-
「君たちこそ、こんな田舎で何をしようとしてるんだい?」

「田舎って言うな!」

 と自分で田舎と言った青年が声を張り上げた。

 あ、俺が言っちゃだめなんだ……とその青年を見つめる。

 3人は3人とも草色のジャケットとカーゴパンツで揃えていた。

 戦闘服をイメージしているのかな? 時弥は冷静に青年たちを分析する。

「それで、目的は?」

 時弥は改めて問いかけた。髪を茶色に染めた短髪の青年は少しおどおどする。

「うるせぇ! てめぇには関係ねえからそこで大人しくしてな」

 と両耳にピアスを付けた男が言い放ち出て行く。その後を2人が追い、時弥は1人残された。

「……」

 普通、監視1人くらい置くもんじゃない? などと考えながら後ろ手をもぞもぞ動かす。

 しかし思っているより頑丈に縛られているようでにっちもさっちもいきそうになかった。

「はぁ~」

 ガックリ肩を落として溜息を吐き出す。

 すると──
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