あんたとあたし。
FOUR
Ⅸ
「ねぇ、あんたら、甲子園出んの?」
練習も終わった二人だけの帰り道。
夏休みが始まって一週間。
少しずつ、少しずつ、マネージャーに慣れてきた。
「お前さ。」
「何?」
「馬鹿?」
「失礼なっ!」
こんな会話が、橘龍と当たり前になってる。
・・・ありえないよね。
なぜか。
なんでか、「ありえない」、そう思う自分がいた。
それはきっと、変に龍と壁を作ってたから。
お互いが。
慣れって、怖いもので。
こうして話さないと、逆に、変な感じになってしまう。
…本当に怖い。