あんたとあたし。





「もうちょっと、愛想良くできないの、龍。」


「俺が愛想良くしてどうなんの。」


「いや、そーゆー問題じゃなくて。」


 最後の信号を駅に向かって越えようとする。


 タイミング悪く青信号が点滅する。


「お前の所為。」


 そう言って、あたしの背より、はるかに高いところから両手が下りてくる。

 見上げたあたしの顔を両手で引っ張ると、くすくすと笑った。



 ・・・龍って・・・・・・・さ、


 こんなことするタイプだっけ??



 一瞬で彼の手はあたしの頬から離れていく。


 いつの間にか変わった信号が龍を攫っていった。


「おい。」


 少し後ろに振り替えると、あたしの腕を引っ張りその流れにあたしも巻き込む。



 あんたが。


 あんたが、そんな風にしてくれると、どうしても・・・どうしても・・・。



 龍の背中を見ながら思った。


 それ以上考えたくなかった。・・・考えられなかった。



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