あんたとあたし。


「海行きたい~。」


 彩がテーブルに項垂れながら叫ぶ。

 ・・・お客さん、少なくてよかった。


「俺も行きたーい。」


 彩に返事をするかのように、修が同じように項垂れた。


「留衣は?」


「あたしは忙しいから。」


「あ~。」


 納得したのかしてないのか。

 曖昧な返事をして、彩ががばっと顔を上げた。


「いいじゃん。行こ、海。」


 は? 

 真面目な顔をして言う彩を、あたしはどんな目で見ているのだろう。

 修は「いいねぇ」と彩に賛成し、テンションが上がってる。


 忙しいって、いったじゃん。



「野球部もちょっとは時間あるでしょ。橘龍も連れておいでよ。」


「なんで龍が必要なわけ。」


「だって留衣だけ彼氏ナシじゃつまんないでしょ。」


「ごめん、付き合ってないし。てか、行かないし。」


「いいじゃ~~ん、行こ行こ♪」


 彩と修は俄然行く気だ。



 ・・・・・・やだ。


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