あんたとあたし。
Ⅱ
考えるほど、難しくなって。
混乱し始めたころ、ちょうど、家が目の前に…。
って、自分で歩いてここまで来たんじゃん。
・・・明ちゃん、怒ってなかったらいいけど。
出迎えてくれたのは祥志(ショウジ)だった。
「おかえり」の一言もなく、奥に行ってしまった。
・・・愛想のないやつ。
あたしの親父、林野明良(ハヤシノアキラ)はよくわかんないけど、結構な金持ち。
ドバイがどーのこーの言って、小学校卒業と同時に日本を発ったきり、
お盆と正月、あとは、親父の気まぐれで帰ってくる以外は会ってない。
あたしは、親父の姉、つまり伯母とその子供、従兄と生活している。
この家は、親父が、自由に使っていいぞって、残して行ったモノの一つ。