あんたとあたし。
Ⅵ
「お願いだって。頼まれてやってくれよ。」
「やだよ、あたしだって、やりたいことあるんだから。」
「頼むよ~。」
夏休みまであと数日。
家でくつろぐあたしの前に祥志と仲の良い野球部副キャプテン、佐々木力が(ササキチカラ)が頭を下げて頼んでくる。
あたしが頼まれているのは、夏休みの期間限定で、野球部のマネージャーをやってくれってこと。
一人いたマネージャーの女の子が転校することになったらしい。で、夏の大会でマネージャーがいないのはさすがにキツいってことで、期間限定で頼みにきたみたい。
「あたしだって、暇じゃないんだからさ。そんなにやってほしいなら、別の子にしてよ。」
「人数多いし、面倒見いい奴しかできないんだよ。洗濯とか掃除もできないと無理だし。」
「そんな子いっぱいるでしょ。なにもあたしにだけ頼みに来なくたって。」