あんたとあたし。




「ちょ、龍っ!」


 あたしがそう叫ぶと、ニヤニヤしながらあたしのそばまで来て「やっぱそうなんじゃん。」と楽しそうに言った。


「勝手な誤解、すんなよ。龍がちゃんと説明しないからじゃん。あたし、送ってくる。」


 「あ、おい。」と後ろから、祥志が呼んだ気がしたけど、あんなのどうでもいいと思い、急いで、龍を追った。


 玄関で、靴を履いている後姿が見えた。


「ごめんね、あいつはあとで処理しとくから。」

「処理って。」

「誤解、解いとくってこと。」

「あーうん。」

 
 とんとん、とつま先で靴をちゃんと履くしぐさを見せた。


「俺もごめんな。」

「なにが??」

「俺、こんなかっこで来たし、マネージャー、やってもらうし。」

「あー、大丈夫。その代り、頑張ってよ?」


 ふっと笑って、「当たり前」と言い、頭をくしゃくしゃと撫でられた。

 「おじゃましましたー」と大きな声で言い、最後にちらりと笑顔を見せ、扉が閉まっていった。


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