あんたとあたし。
「あたしほんとは、ばーちゃん家、手伝いに行くはずだったんだけど。」
本当は。だ。
親父の母親、つまり、ばーちゃんは九州の方で小さな海の家をやってる。
毎年、近所の若い人が手伝いに来てくれるものの、なんせ、女がいないってことで、手伝いに行くことになってた。
あっちは海も空気もきれいだし、ちょっと時間があれば泳げるじゃん、なんて思ってたのに。
「あたしが、代わりに行ってあげたいぐらいだよ、それ。」
一度だけ、ばーちゃん家に彩が連れて行ったことがあった。
彩はばーちゃんも環境も海の家も気に入ったらしく、また行きたいと、何度か言っていた。
「あんた一人で言ってもね~。それに修がいるじゃん。」
と、列の前の方で友達とじゃれ合う修を指差す。
「まぁね。」と照れて、だけどうれしそうに彩が言った。
・・・こいつも、可愛いわー。